小さな主人と二人の従者
 ギャレットは最初から知っていたということなのかと疑問を抱いた。ジュリアが食欲をなくしたり、友達さえも恐怖の対象に感じたことも。
 そのとき、光に包まれるように視界が真っ白になった。

「ジュリアちゃん」
「何?まだ何かあるの?」

 ギャレットに腕を掴まれているジュリアは不機嫌で棘のある言い方だった。

「もう少し俺と話そうよ」
「話すことなんて何もない。もう放っておいて」

 二人がいる場所は誰もいない教室だった。

「いつまで一緒にいる気なの?私のことを玩具のように扱いたいだけでしょ?」
「そんなことないよ」
「足を痛めてしまったのは自分のミスなの。だから・・・・・・あっ!」

 ギャレットに抱き上げられて、そのまま教室を出た。

「何しているのよ?やめてよ!」
「誰かに頼ろうとしないからだよ」

 ギャレットの声は怒りを含んでいる。

「自分で歩けるもの!」
「そんなに嫌だったら、俺から離れなよ」

 両手で彼の胸を押したり、叩いたりしたが、離れることができない。
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