小さな主人と二人の従者
 カーシーの膝から降りようとすると、さっきよりさらに力が加わった。

「ここにいて」

 女の子一人くらい乗せても、カーシーは苦じゃない。

「ジュリア、泣いたのはどうして?君は何を思い出したの?」

 ギャレットに言われたことをそのまま伝えると、カーシーはジュリアの涙を拭った。

「ジュリアの立場からだと、確かに腹が立つ言い方だよね」
「あのさ、足を痛めていたけれど、それって・・・・・・」
「ジュリアが階段から落ちてしまったんだ。ギャレットも何度か手を貸そうとしていたけれど、周りに迷惑をかけたくないという理由で自分で何とかしようとしていたんだ」
「ギャレットはジュリアが何かをしようとする度に足を引きずっているから、そう言ったんだろうね。誰かに助けを求めさせるように」

 ジュリアは何もかもが周囲と比較して劣っていると常に思っているからこそ、自分でやってしまおうとする。

「ギャレット、そういうところは子どもだよね。外見は大人なのに・・・・・・」
「彼は私のことを見下していないの?」

 そうじゃなかったら、わざと悪役に回っていたのかと考える。
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