小さな主人と二人の従者
「蓋が緩んでいたみたいなの」

 ケネスは呆れ顔になりながら、薬を拾った。本気で遊んでいると思われたら、そっちがおかしい。
 散らばった薬の中から回復薬を見つけてケネスに使うと、彼は肩を震わせた。

「痛い?ゆっくりやる」
「そりゃあな。だけど、この薬はよく効くな」

 傷ついた腕を動かそうとするケネスを止めた。

「それは福引で当てたの。店で買うと少し高いからラッキーだった」

 ケネスの手当てを終えて、薬を救急箱に入れて、元の位置へ片づけた。
 ジュリアは鍋のコンロに火をつけて、シーフードカレーを温めた。

「カレーも食べられる?」
「ああ。それより肩の手当てが先だろ?」

 ケネスにコンロの火を消されて、椅子に座らされて、ケネスは背後に回った。

「手当てなら自分でできる」

 背後に回られて本当に手当てをしてもらえるのか不安になる。

「甘美な香りだが、もう襲ったりしない」

 ケネスはジュリアが恐怖で凍りついていることに気がついていた。

「だったら、せめて前か横に来て。後ろから話されるとちょっと・・・・・・」
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