小さな主人と二人の従者
 白い屋敷が見えて、彼女の向こうに誰かがいるのがわかった。
 だけど、彼女の背中で相手が見えなかった。

「相変わらずだね」

 なぜか夢の中のジュリアが苦笑いをしていて、目の前の女性は誰かに手を振っていた。

「ジュリア、私ね、今は心から幸せだと思っているのよ」

 彼女の笑顔が白い光で少しずつ消えた。夢が終わったのかと思っていると、そうではなかった。
 次に目を開けたときは信じられない光景を目にした。

「どうしたの?やっ!何をするの?ジュリア!どこ?助けて!様子がおかしいの!」

 彼女の声を聞きつけて、ジュリアは走ってきた。

「何をしているの?ちょっと!」

 彼女は誰かに強い力で手を掴まれて、どこかへ連れて行かれそうになっている。すぐに魔法を発動させようとしたときに先に攻撃を仕掛けられた。

「ジュリア!避けて!!」

 夢の中のジュリアに当たると思ったときに大きな手がジュリアを掴んで、間一髪のところで避けた。彼女は泣きながらジュリアの名前を呼び続けている。
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