小さな主人と二人の従者
「どうかしたか?いつもだったら、ジュリア様も連れて行こうとするのに」
「俺だってそうしたいよ。だけど、昨日行かなかった罰として一人で行くように言われた」
「それでか」
「ギャレット、買ってほしいものが他にもあるの。紙に書くから」

 紙を用意しようとしたら、頭に記憶するから必要ないということを伝えられた。ジュリアが追加で頼んだ食材はチーズとトマト、きのこ。それらにプラスして行列ができる大人気商品のスイーツ。

「お願いね。ギャレット」

 スイーツを頼んだら、ギャレットは口元が歪んだ。
 --長蛇の列に並ぶことが嫌だから。

「わかった。行ってきます」
「行ってらっしゃい」

 ギャレットは買い物に出かけて、飲み終わったカップを洗ってから、髪を切るための道具を準備をして外へ移動した。

「じっとしていろよ」

 ケネスは大きな布をジュリアの肩にかけて、ヘアピンで髪を分けながら落ちないようにしていく。

「ジュリア様、目を閉じて」

 視界を暗くすると、耳元で髪を切る金属の音が何度も響く。真面目にやってくれていることを感じながら、数分間動かずにじっと待っていた。
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