小さな主人と二人の従者
「目を開けて。どうだ?」

 ケネスに鏡を渡されて、鏡に映る自分を見ると、覆い被さっていた前髪が短くなってすっきりとしていた。

「うん、軽くなった。それに長さもちょうどいいよ」

 これからはケネスに髪を切ってもらいたいとお願いすると、彼は快く引き受けてくれた。

「よし。後は乾かすからな」

 ドライヤーを使いながら、髪を梳く指が気持ち良くてうっとりとする。

「終わりだ」
「ありがとう、ケネス」

 大きな布やはさみなどを片づけようとしたときにケネスがそれを先に取った。

「俺が片づけるから」

 ケネスの言葉に甘えて中へ入ろうとした。

「ジュリア様、ちょっと話をしないか?」
「話?うん、いいよ」

 ケネスから改まって話をしようとするのは滅多にない。ギャレットは帰る時間が遅くなるようにしたから、ちょうど良かった。

「記憶はどうだ?戻っているのか?」

 話題はジュリアの記憶喪失について。

「少しずつ戻っているよ。ケネス、ギャレットとどこで知り合ったの?」
「俺達は学校で知り合ったんだ。授業で実験をするときにペアになったことがきっかけであいつと話すようになったんだ」
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