小さな主人と二人の従者
「学校の生徒ではないよね?」

 すぐに否定してほしいことを願った。

「していない。学校で吸血行為は禁止されているからな」
「そうだった?」

 入学が決まったときに吸血鬼達は吸血行為をしないように徹底的に教育を受ける。

「夜中に吸血をするの?」

 ギャレットとケネスは朝、昼、夜と用事がないときはずっとジュリアと行動している。そうなると、残りは夜中しかなかった。

「ときどきな」
「夜中に女の子がいるの?」
「ジュリア様のように夜には家で大人しくしている者もいれば、家が嫌いで外で時間を潰す者もいる。他にもいろんな事情を抱えている女はいるな」
「私、自分の血を舐めても美味しく感じないよ」
「それは吸血鬼でないから当然だ」

 他の種族達も血を飲まない。飲むのはやはり吸血鬼だけだった。

「ギャレットがジュリア様の血を舐めたときは相当美味かったんだろうな」

 ジュリアの声が上擦った。

「ど、ど、どうして?」
「表情が溶けていたからな」
「私といて大丈夫?」
「ギャレットも何もしていないから、安心していい。仮に何かしようとすれば、俺が全力で止めるから」

 ケネスが力強く言ってくれたので、心強かった。

「ギャレットとはもっと前に会っていたことがある気がするの」
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