小さな主人と二人の従者
 学校の教室で見た黒猫が目の前に鳴き声を上げずにじっとしている。あの女性の飼い猫なのかと考えていると、ギャレットが魔法で氷の矢を放った。
 だけど、黒猫はそれを受ける前に霧のように消えた。

「ギャレット、あの黒猫は・・・・・・」
「あの魔女の黒猫だよ。あいつが何かやらかしているのかな?とにかく一度、ここから出よう!」
「何言っているの?そんなことできない、ちょっと!瞬間移動する気!?やめてよ!」

 ジュリアは無理矢理一緒に瞬間移動をさせられて、知らない場所へ着いていた。

「ここ、ブリジッド市ね」

 ジュリア達がいる場所はブリジッド市の入口の前だった。そこはこの国で最も大きな市。他にはない店がここにはあるのでとても人気だ。

「ここだったら、安全だね」
「私一人でも屋敷へ行く」

 さっきの空気と違って、ピリピリと振動している。

「お前一人行ってどうにかなるのか?救うことができる?笑わせるな、殺されるだけだぞ」

 ギャレットの口調が変わった。
 聞いたことがない、今までと違う口調だった。

「このまま放っておけと言うの!?そんなことできない!」
「誰もそうは言っていないよ。危険だから迂闊に近づいちゃ駄目」
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