小さな主人と二人の従者

　ギャレットの言うことは正しいが、ジュリアはそれでも言うことを聞かなかった。
　そんなジュリアを抱きかかえて、もう一度瞬間移動をした。目を開けると、そこは自分の家だった。

「どうしてここまで連れてきたのよ！？」

　激怒していてギャレットは宥めようか迷った末、ジュリアの両目を手で覆った。
　すると、膝から崩れ落ちるジュリアを抱き止めてそのままソファへ運ぶ。
　ジュリアは彼に眠らされた。
　まるで子どもが危険なところへ行かないようにするために。

「おやすみ、ジュリア」

　そう言って、ジュリアの柔らかい髪を撫でる。その後にギャレットが言ったことを聞いて、ジュリアは息を呑んだ。

「操族であるエヴァンにジュリアの記憶を操ってもらいたいところだけれど、あいつはやってくれないだろうな」

　そこで視界が真っ白になって、現実へ戻った。

「ジュリア様！俺の声が聞こえるか？」

　ジュリアはケネスの腕に凭れて座っていた。ケネスの頬に指で触れると、ケネスはジュリアの手をそのまま誘導して、頬に滑らせた。
　記憶を思い出して、現実に戻った。

「聞こえるよ。ちょっと思い出して・・・・・・」