小さな主人と二人の従者
　そろそろギャレットに本当のことを言ってほしい。
　それは願ってはいけないことなのだろうか？

「ギャレット」
「なーに？ジュリア嬢」
「ひゃあ！」

　正面から抱きつかれて、力を込めてギャレットを突き飛ばした。ギャレットは腹を押さえながら、咳き込んでいる。

「ちょっ、それはひどくない？」
「ご、ごめん！ギャレット、おかえり」
「ただいま。ちゃんと買ったからね」

　一番欲しかった甘い香りを漂わせているスイーツの箱を開けると、マドレーヌが入っている。

「さっき、俺の名前を呼んでいたけれど、何か話したいことでもあるの？」
「デザートはまだかなと」

　期待していなかったことをジュリアに言われて、ギャレットは脱力した。

「俺を求めてくれたら、これよりもっと甘いひとときを過ごすことができるよ」
「こっちを食べるからいい」

　マドレーヌに集中しているジュリアに相手してもらえないギャレットが面白くて、ケネスは一人で肩を震わせながら笑っていた。

「二人とも、食べよう」

　ジュリアは頬を緩めて、さっさと箱からマドレーヌを取り出した。
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