小さな主人と二人の従者
「嫌なことがあるとわかっているから、次に自分にとって良いことを用意しておくのね」
「そう。この美味しさを秘密にしておくより、親しい関係に教えるべきね」

　今度ギャレットとケネスにも教えてあげよう。
　満腹になったジュリアとミラベルは店を通り過ぎようとしたときに店と店の間の通路から小さな女の子が飛び出してきた。

「ひゃっ！」
「わっ！子ども？」

　女の子は本を抱えながら泣いていて、怪我をしたのかと女の子を見た。

「大丈夫？どこか痛いの？」
「違う・・・・・・通して！」

　女の子がジュリアを突き飛ばしてどこかへ走り去った。

「ジュリア、大丈夫？」

　ミラベルに手を貸してもらいながら、ジュリアは立ち上がった。

「大丈夫だよ。それよりあの子、誰かに似ていなかった？」
「さあ？顔をちゃんと見ていなかったから」

　ミラベルとジュリアが話していると、三十代くらいの男性二人がやってきた。

「なあ、あんたら、ピンクのワンピースを着た幼女がこっちへ来なかったか？」
「向こうへ行きました」

　ミラベルが方向を教えると、男性達は顔を見合わせた。

「あっちだな。ありがとうな」
「行くぞ」
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