小さな主人と二人の従者
 男性達は女の子が走った方向へ行ってしまった。

「ミラベル、何か感じなかった?」
「何に?あの方達に?」
「そう」

 ジュリアは感じた。彼らが顔を見合わせたときに強く。

「ミラベル、買い物は後回しにしよう」
「ちょっと、ジュリア!どうしたの?どこへ行くの?」
「一緒に来て!何だか胸騒ぎがするの!」

 女の子達が向かった方向へ走って辺りを見回しても、どこにもいない。

「ジュリア、気のせいだということは?」

 ミラベルは数分走ったので、乱れた息を整えている。ジュリアは彼女の背中を擦りながら、何か音を拾うことができないかと耳を澄ました。 

「ふええ・・・・・・」

 あの女の子の泣き声だった。続いて、何かが崩れる音が耳に届いた。

「今の音、何?」

 耳に届いたのはジュリアだけではなかった。ミラベルと音の方向へ走ると、さっきの男性達が短剣を持って倉庫の辺り歩き回っている。

「あのガキ、どこへ行った?」
「まだどこかに隠れているはずなのにな」
「せっかくあの本を盗んだのに」
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