小さな主人と二人の従者
「その本は誰の本なの?」

 これが彼らが欲しがっている魔道書。女の子が抱える分厚くて重い本は破けているところがあり、古い本だと一目でわかる。

「わからない。あのお兄さん達がどこからか盗んだみたいなの。これで何か悪いことをするために」
「ジュリア、この本はギルドへ預けるのがいいよね?」

 女の子を捜しているときにギルドに所属しているメンバー達が何者かに重要な魔道書を盗まれたことについて話していた。彼らもこれを盗んだ者達を捕まえたがっている。

「そうだね。この子もちゃんと親の元へ・・・・・・」
「しっ!」

 ミラベルがジュリア達を静かにさせると、外でさっきの男性達が話している。

「今、何か聞こえなかったか?」
「何も聞こえなかったぜ?もう一度中を見るか?」
「そうするか」

 鍵を開ける音が響き、すぐに隠れて身を潜めた。

「ミラベル、この子と本を持ってギルドへ行って!」
「今は無理よ。飛び出したら危険だわ」

 せめて倉庫を開けた状態で彼らがここから離れてくれたら、まだ何とかなるのに。
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