小さな主人と二人の従者
「あれ?」

 一人の男性がしゃがんで何かを手にした。

「どうした?それ、髪だよな?」

 引っかかっていた栗色の毛を引き抜いた。それはジュリアの髪の毛だった。

「誰かが女でも連れ込んでいたのか?」
「女を見たか?そもそもこんなところへ来るか?」

 見つかるのは時間の問題となってきた。

「あのガキを徹底的に捜すぞ!ギルドに逃げられたら厄介だからな!」

 男性達は次々と箱を手でどけていく。ミラベルに女の子を抱えさせて、彼らの動きに合わせるように横へ積み上げる箱へ隠れた。足が見えたのではないかと不安をよぎったが、彼らも焦っている様子なので、気づいていなかった。

「結構しんどいな。どれも重いから」
「つべこべ言っていないで手を動かせよ!」
「ったく、わかっているよ!」

 体力がかなり消耗されたのか、箱を蹴飛ばしたので、ジュリアはそれに巻き込まれて、逃げ場を失った。

「痛っ!」

 ジュリアの声を聞いて、男性達が振り向いた。

「っ!お前!」

 ジュリアは彼らに見つかってしまった。
< 166 / 269 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop