小さな主人と二人の従者
「全員、始末してもいいよね?」

 鋭い爪はまるで光っているように見えて、ジュリアは顔を青ざめながら大声で叫んで、ギャレットを止めた。

「だめだよ。ギャレット!殺さないで!」

 しかし、ギャレットは今すぐに彼らを殺したがっていて、本来の吸血鬼の表情となっていた。

「どうして?いいでしょ?生かしていても、無意味だよ」
「彼らを捕まえるの!後のことはギルドに任せよう!」

 それでもギャレットは魔力をためて、強い攻撃魔法を発動させようとする。

「ギャレット!お願い!」
「そこまでだよ。ギャレット、ジュリアの手当てをしてあげて」

 声を発したのはエヴァンだった。エヴァンは操族の力で敵を全員武器を捨てさせて、手を頭の上に置いてから跪かせた。エヴァンと一緒に来たギルドのメンバー達が彼らを完全に抵抗できないようにしてから、倉庫から出た。

「エヴァン!どうしてここに?」

 次から次へと現れるので、何がどうなっているのか、頭の整理が追いつかない。
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