小さな主人と二人の従者
　その魔道書について詳しいことは何も知らない。ただ、わかるのは使い方を間違えると、危険な本になってしまうことくらいだった。

「ジュリアにお礼を言いたがっていたのよ、あの子」
「そんな、私は何も・・・・・・」

　ずっとあの子は怯えながら泣いていた。今度会ったときはあの子の笑顔を見たい。それからあの子の勇気を褒めたい。

「ジュリアが追いかけて良かったわ。あのまま違う方向へ進んでいたら、もっと最悪な事態になっていたでしょうから」
「本当に。平気で子どもの命を奪おうとして」

　倉庫にいた男性達は不良の集まりで金がないので、ときどき盗みをやって生活をしていたらしい。

「ギャレット」

　ジュリアが話しかけても、何も返事をしない。彼はジュリアがただ捕まえたことに納得していなかった。

「ギャレット、行くぞ」

　ケネスが促して、ギャレットは二人の前を歩き出した。

「ジュリア、今日はゆっくり休みましょう」

　ミラベルは疲れた顔をしていた。

「そうね。エヴァン、ミラベルをお願いしてもいい？」
「何を遠慮しているのだい？いいよ。ミラベル、僕達も行こう」
「二人とも、またね」

　それぞれ違う道を通って、家まで帰った。
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