小さな主人と二人の従者
「狭くない?ギャレット」

 狭くしているのはギャレットなのに、ベッドから落ちてしまうのではないかと思う。

「心配しなくてもスペースならある」

 布団の中で目を閉じると、今度はすぐに意識を放した。
 ジュリアは夢を見なかった。これはジュリアにとって珍しいことだった。最近はギャレットの夢を見ることが多くなっていて、寝ても覚めても彼がいた。


 朝の光が寝室を照らしている。
 ジュリアはぼんやりとしたまま、上体を起こしながら伸びをした。ジュリアの声を聞いて、ケネスは布団を捲って振り向いた。一番寝起きが良いケネス、次がギャレット、最後はジュリアの順だった。

「ジュリア様、おはよう、まだ眠そうだな。まだ眠っていていいぜ」

 時計の針は六時のところになっている。いつもならまだ眠っている時間なので、ケネスが言ってくれるのは嬉しいが、あまり怠惰でいる訳にはいかない。

「おはよう。いい、起きる」
< 175 / 269 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop