小さな主人と二人の従者
 だけど、ギャレットがいるから、ジュリアは動くことが許されなかった。眠るときにギャレットが腕を庇うように抱きしめた。
 ジュリアに言いたいことはたくさんあったが、疲れているジュリアを休ませるためにそっちを優先した。
 ケネスがギャレットを揺すって起こそうとする。

「ケネス、起こさないで」

 ケネスの手にジュリアの手を重ねた。

「腕は?痛むか?」
「もう大丈夫」
「重いものは持つなよ」

 ここで断ったら、話が長引いてしまう。ジュリアは素直に頷いた。

「ジュリア嬢」

 ギャレットが眠そうに目を開けている。窓の外はまだ薄暗く、静かな夜のように思う。

「おはよう。ギャレット」
「おはよう、もう朝?」
「そうだよ」

 ギャレットは欠伸をしながら、これ以上密着できないと言いたくなるくらいにジュリアとの隙間を埋めている。
 挨拶を終えると、ジュリアのお腹が鳴った。恥ずかしさで布団の中へ潜ろうとしたが、ギャレットが布団を奪い取った。
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