小さな主人と二人の従者
「昨日、何も食べていなかったね」
「お腹が空いた」
「何か作るよ。ケネス、そうでしょ?」

 ギャレットがいつもケネスに投げかけると、いつもの台詞をケネスはしっかりと言った。

「私も手伝うよ」
「構わないから。何がいい?リクエストはあるか?ジュリア様」
「小さいクロワッサンを食べる。他にも何か作って」

 まだ小さいクロワッサンが残っていたことを記憶している。

「できたら呼ぶから」
「お願いね」

 ケネスは長い金髪を黒いヘアゴムで後ろにくくって、朝食を作りに行った。扉が閉まってから、ギャレットはジュリアの顔を眺めた。

「ジュリア嬢、腕は?」

 その質問に違和感を感じた。

「私達の会話を聞いていた。そうでしょ?ギャレット」

 ギャレットが狸寝入りをしていたことはわかっていた。

「起きていたことに気づいていたんだ。どうして?」
「話しているときに髪が揺れたから」
「それでか」
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