小さな主人と二人の従者
 視界の端でジュリアがケネスに話しかけているときに何度か銀色の細い光が揺れていた。
 ギャレットはジュリアの腕に鼻を近づけた。

「血、もう止まっているよ?」
「わかっている」

 ギャレットは突然こんなことを言い出した。

「ジュリア嬢が小さかったらいいのに・・・・・・」

 それに対して、ジュリアは機嫌を損ねて反論した。

「これ以上背を縮めたくない」
「そうじゃなくて、俺の隣にずっと置きたい」

 今だってジュリアを束縛している。彼にとって、これでも足りないようだった。

「ずっと?」
「そうだよ。だったら、怪我をすることだってない。いつだって俺が守るから」
「怪我をしたのは私のミスなの。だから・・・・・・」

 この台詞。カーシーが見せた夢と同じ。

「だから・・・・・・そんなことをしなくていい」
「外へ出すよ?俺の目が届く範囲ならね」
「嫌よ。そんなの・・・・・・」

 ジュリアはギャレットのペットじゃない。
 自由を狭められたくない。そんなの、自由じゃない。
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