小さな主人と二人の従者
「じゃあ、お礼をさせて?新しい服がいるよね?じゃないと家に帰ることができないでしょ?」

 このときのジュリアはそんなことを考えず、助けてくれたギャレットに感謝している。
 家に帰るどころか、血塗れのギャレットはどこにも行くことができない。

「それは自分で用意するからいいよ。でも、そうだな・・・・・・その代わりに目を閉じてくれる?」
「目を閉じて何をするの?」

 夢の中のジュリアと同じ疑問を抱いた。警戒するのは当然だった。

「すぐにわかるよ」

 ギャレットはジュリアに手をかざして、聞いたことのない呪文を唱えた。途中でジュリアの腕に小さな痛みを感じて袖を捲ると、見覚えのある印が浮き出た。
 夢の中のジュリアがこれが何かと問う。
 夢を見ているジュリアはその正体と印を刻んだ理由を。

「おまじないだと思って」
「おまじない?何の?」
「いつかもう一度君に会いたいからそれが叶うおまじない。次に俺と会ったときはもっと仲良くしてね」
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