小さな主人と二人の従者
 ギャレットの瞳の色が濃くなった。
 返事をしようとすると、瞼が重く感じて、眠りについた。

「おやすみ三秒だね」

 ギャレットの腕の中にいるジュリアの無防備な寝顔を眺めて、髪を撫でながら夜空に目を向けた。満月が出ていて、こんな小さな子どもが外にいる時間ではないことに気づく。

「本当にこの子、どこから来たのかな?」

 セーラ市の階段に座って、ジュリアを抱いてどうしようかと考えていると、遠くでジュリアを呼ぶセリーナ先生の声が近づく。

「君の名前はジュリアなの?」

 眠っているので、返事をすることができない。
 呼んでいる主が見えるようにジュリアをベンチに置いて様子を見た。

「ジュリア!良かった!無事で!エヴァンの家に行ったきり、戻らないから心配していたのよ」

 どうやらこのときのジュリアはエヴァンの家に行っていたようだ。
 セリーナ先生がここまで来たということは両親はいない可能性が高く、ジュリアが先生の家に泊まっていたときの夢だ。

「あら?これは・・・・・・誰の?」

 ジュリアを包んでいたマントに見覚えがなく、セリーナ先生は首を傾げた。
 すると、ジュリアがくしゃみをしたので、セリーナ先生はジュリアをおんぶした。

「風邪を引いたら大変ね。私と帰りましょうね」
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