小さな主人と二人の従者
 二人にカレーを渡してから、水を飲んで喉を潤した。今日はいろいろなことが起こったので、どっと疲れが出て欠伸が出そうになった。

「この辺りは魔獣が多いんじゃない?」
「いいえ。たまに出現するくらいだよ」
「でもさ、女の子一人でいたらまたいつ誰に襲われるかわからないよ?」

 嫌な予感がして、カレーを食べる手が止まった。

「何が・・・・・・言いたいの?」

 とんでもないことを言い出した。

「君の従者になりたいんだ」
「・・・・・・私の従者?」
「うん。小さなご主人様」

 ギャレットはずっと笑顔のままだ。ケネスに視線を向けると、彼は真剣な顔になっている。

「ジュリア嬢、そういうことだからこれからよろしくお願いします」

 ギャレットが頭を下げると、ケネスも同じように頭を下げた。

「よろしくお願いします。ジュリア様」
「嘘でしょ・・・・・・」

 ジュリアは訳がわからなかった。なぜ従者になりたいのかということと本人を置いてけぼりにしたまま、話を進めてさっさと決められている。整理をしようと顔を上げると、ギャレットが自分の口元を指で軽く叩いて米粒がついていることを教えてくれた。
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