小さな主人と二人の従者
 プラシダさんが驚くのは当然のことだった。学校の外へ行くときはミラベルかギャレットとケネスと一緒のときがほとんどだから。

「プラシダさん達はお昼は食べました?」
「もう少し後ですね」
「お腹が空いています」

 タデウスさんが自分の腹に手を当てて、そっと呟くように言った。

「気をつけてくださいね」
「はい、行ってきます」

 正門を後にして、歩いて三分もかからないところにレストランがあった。お昼の時間なので、そこそこに席が埋まっている。空いている席に案内されて、食べたいものを店員に言ってから、カーシーを見た。

「カーシー、今日の放課後はあそこへ行く?」
「今日は行かない。それにギャレット達と授業が終わる時間がほぼ同じだよね?だからだめだよ」

 隠し部屋のことを知って、ましてや、カーシーに会うために何度も行っていることを知ったら、もう行くことができなくなる。それだけは避けたい。

「だったら、来週は?」
「来週ね・・・・・・」

 カーシーは少し俯いて考えていると、店員が料理を持ってきた。ジュリアが姿勢を正しくしたが、店員は横を通り過ぎて、別の客のテーブルに料理を置いた。

「くすっ、違っていたね?」

 カーシーはおかしそうに笑った。
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