小さな主人と二人の従者
「子ども扱いして」
「大人扱いしようか?」

 カーシーの目が笑っていない。それに妖しいオーラを放っていて、店員が数人、こっちを見ていた。

「結構です!」
「それって、お願いの意味?」

 都合のいい解釈をされた。

「違う!逆!いらない!」

 さっきといい、今といい、彼の玩具みたいになっている。

「これ、お子様カレーを頼む者がたくさんいるってことだよね?」
「そうなるね。奥のテーブル席にいる女性達はみんな食べているからね」

 振り向くと、女性達が恋愛話に花を咲かせながら、食事を楽しんでいる。

「本当だ。意外と多いね」
「ね?」

 カーシーに向くと、カレーは残り一口で終わりそうだ。ジュリアはまだ数口分残っている。焦って時計を見ようと視線を彷徨わせた。

「急がなくても、まだ時間はあるからゆっくりでいいよ」

 カーシーの腕時計はシルバーでケース・ベルトはステンレスとなっていて、べゼルにロゴがデザインされていて、お洒落な時計だった。

「素敵な時計ね。最近買ったの?」
「そうだよ。前の時計は完全に壊れて使えなくなったから。ジュリアも腕時計を持っていたよね?今日はどうしたの?」
「あ!鞄の中に入れたままだった」
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