小さな主人と二人の従者
「遊びに来たよ、ジュリアちゃん」
「ギャレット!」

 さっき出て行ったはずのギャレットが顔を覗かせた。

「ね?すぐに戻ってきたでしょ?」

 生徒達がギャレットを見ている。ちゃんと見えるように魔法を解いたのだ。

「本当ね」

 防衛術の授業を受けているときも授業が終わった今もギャレットは何度かジュリアに話しかけていた。姿が見えるのはジュリアだけで、あちこち見るジュリアを先生は顔をしかめていた。

「今は他の生徒達も見えているのね」
「そうだよ、だからさっき、外へ出たんだ」

 他の生徒達にも姿が見えるようにして、まるで教室へ遊びに来たように見せかけるために。

「ジュリアちゃんと同じ学年が良かったな」

 ギャレットのひんやりとした手をジュリアの手の上に重ねる。

「どうして?」
「それだったら、授業中に何か起きても、俺がジュリアちゃんのことを守ることができるから」
「大丈夫だよ、真面目に授業を受けていたら、怪我をすることはないから」

 運動をする授業はたまに転ぶことがある。

「ギャレット、ずっと私が受ける授業にいたけれど、大丈夫なの?」
「さっきも言ったでしょ?自習だったんだよ」
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