小さな主人と二人の従者
 ジュリアが声を出す前にギャレットは教室を出た。

「居心地が悪くなったのかな?」

 残されたジュリアが溜息を吐きながら、教科書を広げようとしたときに教室へ入ってくる気配がした。振り向くと、いくつか同じ授業を受けている男子生徒だった。

「あれ?ジュリア、一人?」

 さっきまでギャレットと二人だった。

「一人だよ。今は勉強中」
「本当に真面目だよな。疲れない?」

 まだ何もやっていない。

「長時間やるつもりはないから、疲れないよ。それよりどうしたの?何か忘れたの?」
「あ、あのさ・・・・・・」
「うん?」

 男子生徒は手汗を掻きながら、小さな声を出した。

「俺と、付き合ってくれない?」
「どこへ?」

 彼は壁に後頭部をぶつけそうになっていた。

「いや、そうじゃなくて!」
「わっ!何?」

 彼が声を荒げたので、ジュリアは驚いて息を呑んだ。

「だから・・・・・・俺の彼女になってくれないか?」

 ジュリアの動きが止まった。

「それは・・・・・・告白?」
「そうだ。返事は・・・・・・」
「あの、ごめん!私、恋人になることはできないの」
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