小さな主人と二人の従者
 どうしてここまで言われなくてはならないのだろうかと思いながら、怒りをぶつけた。

「よく言うよ!どこへ行っても、女の子達の注目の的になるのはギャレットじゃない!」

 この間も訓練の帰りに近くの村を通り過ぎようとしたら、女の子達がジュリアの後ろを歩いていたギャレットを囲んでいた。

「ギャレット、自分が女の子にどんな評価をされているのかわかっているよね?」
「わからない」

 本日二度目の嘘を吐いた。

「他の女の子はどうでもいいよ。ジュリアちゃんに評価されることが大切」
「私の評価?」
「そう。とりあえず、俺の好きなところをざっと二十個言ってよ」

 なぜそうなる。
 これ以上付き合っていられない。

「もういい」

 さっきまでの怒りが冷めてきた。

「ジュリアちゃん、せっかく二人でいるんだから、そろそろ仲直りをしようよ」
「誰のせいよ」

 このまま嫌な気持ちを抱えたまま一緒にいることは悲しい。

「わかった。この話はここまでにしよう」

 気持ちをリセットすることにした。ギャレットはジュリアに笑いかけた。
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