小さな主人と二人の従者
「仲良く喧嘩することは悪くないけれど、あまり続けるとお互い気分が晴れないからね」

 先に喧嘩を売ったのはギャレット。それを忘れて機嫌を取り戻す方法を考えようとしたジュリアにギャレットが提案した。

「今日は二人でゲームをしようよ」
「いいよ、何のゲームをする?」
「オセロはどう?」

 オセロで遊ぶことは久しぶりだった。

「やろう。負けないからね」
「ふふっ、それはこっちの台詞」

 談話室へ移動して、オセロ勝負を数十分かけてやり続けたが、結果は最初からわかっていた。

「ジュリアちゃん、また負けだね」
「ううっ・・・・・・」

 結果はジュリアが一回も勝っていなくて、気持ちが沈むばかり。

「ジュリアちゃん、約束を忘れていないよね?」

 実は教室を出る前にこんな会話をしていた。

「単に勝負をしても面白くないから、ちょっと工夫しない?」
「いいけど、どんな?」
「単純に負けたら勝った者の言うことを聞くことにしない?」

 これはチャンスだった。ジュリアが勝ったら、記憶喪失の何かを聞き出すことができるかもしれないから。
< 203 / 269 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop