小さな主人と二人の従者
「ギャレットはどんなお願いをするの?」

 ひょっとしたら、さっき彼が言っていたデートの可能性もある。

「それは後のお楽しみに」

 やっぱり秘密にされた。

「ジュリアちゃんとオセロをするのは初めてだから、どんな勝負になるだろうね?」
「さあ?あっさりと勝負が決まるのは嫌かな。それだったら、つまらないもの」
「自信があるみたいだね?もし、ジュリアちゃんが勝ったら、どんなことでもすることを約束するからね」

 脳を蕩かせるような甘い声。ジュリアにその罠にまんまとかかってしまった。

「何のお願いをしようかな?」

 ギャレットの口元が上がる。

「そうだなー、次の休みはずっと二人で過ごしたいな」
「ケネスはまだ来ないの?」

 早く談話室へ来てほしかった。

「さっき、廊下で先生と話しているところを見たから、しばらく来ないよ」
「ううっ、ケネス・・・・・・」
「さっきから同じ名前を繰り返して、そんなに俺を怒らせたいの?」

 そんな気は一切ない。
 だけど、ギャレットを苛立たせる理由だった。

「そうじゃないよ、二人で過ごすって、何をするの?」
「別に変なことはしないから。それともしてほしい?」
「そんなことをしたら、ギャレットのことを嫌いになる」
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