小さな主人と二人の従者
 そう言い返すと、ギャレットは目を細めて、ジュリアに顔を近づけた。

「そんなこと許すと思う?」

 ジュリアにとって、許す、許さないの問題ではなかった。

「知らない。そもそも変なことをしなければいいだけの話よ」
「しないよ。ただ、普段から二人だけの時間があまりないから、これをきっかけにしただけ。お願いだから警戒しないでよ」
「休日、家で過ごす?それとも外?」

 ジュリアが負けたのは事実。最初にルールを決めたのだから、それに従わなくてはならない。

「俺はどっちでもいいよ。ジュリアちゃん、行きたいところはある?」
「訓練」
「だーめ」
「どうして?」

 ギャレットに質問しなくてもわかっている。少しでもジュリアが傷ついたら嫌だから。

「言わなくてもわかっているでしょ?」
「そりゃあ・・・・・・」

 何度も言われたことだから、ジュリアはわかっている。

「それだったら、何か買ったり、美味しいものでも食べに行こうよ」

 ギャレットの願いに理解しにくいところがある。

「それがギャレットの願い?だけど、それだと・・・・・・」
「俺の金が減る?だけど、俺は好きなようにお金を使っているんだよ」
「こんな場合、私がギャレットに払うべきじゃないの?」
「払わなくていいよ。ただ隣にいてくれたらいいの」

 男が女に払うことが常識だと、ギャレットに教えられた。

「買いたいものだったらある」
「珍しい。何?」
「休日に言う」
「わかった。楽しみだな。二人で出かけることはほとんどなかったからね」

 ケネスに後でこのことを伝えなくてはならなかったので、今度は別のゲームをして、ケネスが来るのを待った。
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