小さな主人と二人の従者
　二人で出かける日、起きた時間は七時五分で、ジュリアはケネスが七時に出かけることを昨日聞かされていて、玄関でお見送りをしてからギャレットを起こしに行くと、さっきまで布団に抱きついていたギャレットがいなかった。他の部屋へ行こうとしたときに台所の扉が開いていて、いい匂いが漂っている。

「ギャレット、料理していたの・・・・・・何これ！？」

　テーブルの上には豪華な料理がたくさん並べられていた。コンロにはいくつか鍋が置かれている。

「ギャレット、いくら私と出かけることが嬉しいからって、これは・・・・・・」
「俺じゃないよ！ケネス！」
「ケネス？」

　料理を見ると、盛り付け方や味が完璧だったので、ケネスが作った料理だった。

「ケネス、ときどき面白いことをするよね」
「食べよう。ケネス、俺たち二人で出かけるから拗ねているんだよ」

　ギャレットに促されて席に着いて、ケネスの料理を口の中に運んだ。
　拗ねているからご馳走を作るケネスの行動の意味がわからなかった。

「ケネスなりの報復なの？」
「そうそう、帰ったら、どんなことをしようかな？」

　絶品料理を口にしながら、ギャレットは黒い笑みを浮かべている。
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