小さな主人と二人の従者
「ここじゃないんだね?」
「うん」

 もう少し遠いところだと、加えた。

「そうなんだ、他にも何か別の種類も買う?」
「ううん、これだけでいいよ。ギャレット、ケネスのお土産に何を買おう?」
「これでいいんじゃない?ラッピングしてもらって」

 ギャレットが決めたのはスイーツキャンドルのバースデーケーキ。

「箱に消費期限を書いておけば、喜んで食べようとするかもね」

 ケネスも吸血鬼なのだから本物か偽物か、中身を見なくてもすぐにわかる。

「これだとお土産じゃなくて、朝の仕返しみたいだよ」

 実際に朝は驚かされただけで、不快には感じていない。むしろ、ご馳走が並べられて喜んだくらいだった。

「しょうがないな。じゃあ、美味しいお菓子でも買いに行く?」
「うん!それがいいね!」
「でも、まだこの店を出るのに時間がかかるよね?」
「かからないよ。どうして?」
「だって、ほら」

 ギャレットがジュリアの両肩に手を置いてジュリアを回転させると、さっきまで見ていたぬいぐるみがジュリアの視界に飛び込んできた。

「本当に時間がかかっちゃう」
「どれも買ってあげるよ?」
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