小さな主人と二人の従者
 ギャレットはたくさん買っても、全然苦ではない。仮にジュリアがもっと物欲が激しい女の子だったとしても、ギャレットは金を出してジュリアに与えるだろう。

「うさぎを買うことにする」

 本当は他にも買いたかったが、ジュリアは我慢をした。
 ギャレットはぬいぐるみの中からねことりすを取った後、ジュリアの手の中にあるぬいぐるみ達も取って会計を済ませようとした。

「ギャレット、私が・・・・・・」
「俺が買うから」

 ポケットから札を一枚出して、店員に渡していた。おつりを受け取り、外で待っているジュリアに商品を渡した。

「ありがとう」
「ジュリア嬢との記念に買いたかったからさ」

 ぬいぐるみが増えて、ジュリアは嬉しかった。

「ジュリア嬢、そろそろご飯を食べようよ。お腹が空いたよ」
「そうだね、十二時を過ぎちゃっているからね」

 一時間前に十二時を知らせる時計塔の鐘の音が鳴り響いていた。

「何がいいかな?ジュリア嬢、店を選んでもいい?」
「うん、いいよ」

 ギャレットの隣を歩きながら、昼食を楽しみにしていた。

「着いたよ。ここでいい?」

 いい訳がない。こんな高そうな店に足を踏み入れる勇気なんてない。
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