小さな主人と二人の従者
「今年は雪が降るかな?」
「まだ先だよ。ギャレットは雪が好き?」
「好きじゃないよ。ただ、俺にとって雪は特別だから」
「特別?」
「今は教えてあげない。内緒にしておく」

 ギャレットは背筋を伸ばして、ジュリアをまっすぐに見つめた。ジュリアも同じようにすると、ギャレットの口角が上がった。

「いつか教えてね?待っているから」
「約束するよ」

 てっきり内緒にされたままだと思っていたから、ギャレットの返事が意外だった。
 昼食を食べてからも近くの店を見て、家に帰る前に忘れずにお土産を買った。ギャレットといた時間はあっという間で空が茜色に染まって、風が冷たかったので、ギャレットはジュリアの小さな手を包んだ。二人の距離が縮まり、磁石のようにくっついて歩いた。

「歩きにくいよ」
「俺だって寒いから」

 ギャレットはジュリアの肩を抱いて、支えている。

「今日、楽しかったよ」
「満足してもらえて良かった」
「ギャレットは楽しかった?」
「楽しかったよ、ジュリア嬢」

 ギャレットが急に足を止めたので、ジュリアも同じように足を止めた。

「また行こうね」
「うん、もちろん。ギャレット、急にどうしたの?」
「言いたかっただけ。急に止まってごめんね?帰ろう」
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