小さな主人と二人の従者
存在
 月曜日、ジュリアは隠し部屋の中で本を読んでいた。
 いつもはカーシーが先に中にいるのに、今日は逆のパターンだった。

「あれ?早かったね」
「こういうのもたまにはいいね」
「そうかな?」
「うん、ジュリア、いつもと同じ要望?」
「そう、夢を見たいの」
「俺を見て、ジュリア」

 ジュリアがカーシーを見ると、いつものように夢の世界へ飛んだ。
 夢の中のジュリアは地下牢のようなところにいた。牢屋の中にはあの女性が外にいるジュリアを呼んでいた。

「彼を助けて。魔女、魔女のせいなの!だから、急におかしくなってしまったの!」
「あの魔女を倒す方法はないの?」
「わからないわ。あの魔女がどれほどの力の持ち主なのか」
「エリー、ウィルお兄ちゃんを絶対に何とかするから。エリーもここから出すからね」

 自分は今、何て言ったの?
 お兄ちゃん?
 初めて二人の名前を知った。それと兄という存在を知った。
 ずっと一人っ子だと思っていたジュリアにとって衝撃的だった。

「ジュリア、私にもっと力があれば、ここから出ることだってできるはずなのに・・・・・・」

 エリーは今にも泣きそうになっていた。
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