小さな主人と二人の従者
「エリー姉さん」

 瞬間移動で姿を見せたのはケネスだった。またしても、ジュリアの頭の中に疑問が増えた。
 ケネスはジュリアを小さな子どものように抱き上げた。

「一度、ジュリアを連れてここを出る。あの魔女が気づいたからな」
「わかった。ケネス、ジュリアのことをお願いね。まさか本当に吸血鬼になったとは思わなかったわ」

 吸血鬼になった?
 エリーの言い方はまるで、それまで別の種族だったみたい。この後の発言にもジュリアは強い衝撃を受けた。

「私の弟とまた会うことができるなんて思わなかったわ」
「俺もだよ、エリー姉さん。必ず二人を助けるからな」
「エリー!」

 現実に飛ばされると思って目を閉じた。そのときに名前を呼ばれて目を開けると、ギャレットがいた。
 左右を見ても、ケネスはもうどこにもいなかった。ジュリアとギャレットは剣を持って向かい合っていた。
 ーージュリアはまだ夢の中にいた。

「早くおいでよ」
「わかっている!」
「それとも疲れちゃった?」

 挑発してくるギャレットに腹を立てて、ジュリアは地面を強く蹴り、剣を振りおろすと、ギャレットはそれを受け止めた。

「動きは悪くないね」
「そりゃあ、小さい頃から武器を使っているからね!」
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