小さな主人と二人の従者
 ギャレットはジュリアが攻撃をするたびに必ず受け止めていた。
 ギャレットが攻撃をするとき、ジュリアがそれを受け止めていると、足が後ろへ下がってしまう。
 昔の二人が戦っているところを見て、訓練のためではないことは一目瞭然だった。

「あんたなんか大嫌い!」
「俺はジュリアのことが大好きだよ」
「よくも私の友達にひどいことを!」

 ジュリアは怒鳴っていたが、泣いているようにも感じた。

「口先だけだったら、信用しないと思ったから実行しただけだよ?」
「あんたは私をどうしたいの?」
「もちろん独占したいよ。一部の生徒達は俺達が特別な仲だって思っている」
「私は友達を危険にさらすような男を好きにならない!」

 今までで一番強く剣をぶつけると、眩い光がジュリアを包んだ。それは目覚めの合図だった。
 もっと夢を見たいのに、そう思いながら目を覚ましてしまった。

「起きたみたいだね?」
「うん、カーシー、おはよう」
「どうだった?」
「新たな事実が判明したの。私に兄がいたの」
「兄?」

 ジュリアは兄の存在すら、遥か彼方に飛ばしていたようだった。

「君に?」
「そう。それとケネスのことなのだけど、もともと吸血鬼じゃなかったみたいなの」
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