小さな主人と二人の従者
「ジュリア、ここに来ていないの?」
「来ていないわ。あの子、魔女に会っていないといいのだけれど、どこに・・・・・・」
「あんたを閉じ込めているのは強い結界が張られている」
「破ることはできない?」
「離れていて」

 ギャレットは小声で呪文を唱えて攻撃魔法をぶつけるものの、結界は何の変化も見せなかった。

「やっぱり破れないな」
「あの魔女を倒すしか、方法はなさそうね」
「魔女はここに来ることがある?」
「あるわ。私を殺さないのはウィルと一緒にいるところを見せて苦しめるためなの。ウィルが操られているのをいいことに何度もここへ来て、私を罵倒することも忘れないのよ」

 とんでもない性悪魔女だ。ウィルお兄ちゃんを操ることができたから調子に乗っている。

「彼は服従の魔法薬を飲まされた。逆の魔法薬を飲ませることができれば、目を覚ますことができるかもしれない」
「だけど、そんな都合のいい薬はない」
「こんな形で幸せを壊されるなんて・・・・・・」
「もう行くよ。いい加減ジュリアを見つけないといけないから」
「ええ・・・・・・」
「それとジュリアは今でもどうやって助け出そうかと考えているから、簡単に諦めないようにね」
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