小さな主人と二人の従者
 視界が白くなって二人の姿が見えなくなって目を開けると、ジュリアはカーシーに膝枕をされている状態だった。上体を起こそうとしたジュリアはふらついて、再びカーシーの膝に戻された。

「もう少しこのままでいなよ」
「でも、そろそろ時間が・・・・・・」
「だったら、医務室へ連れて行くよ。そしたら、彼らにも怪しまれないから」

 カーシーにおぶってもらっている間、お互いに何も話さなかった。医務室へ入ると、そこに先生はいなかった。

「誰もいないね」
「ちょうどいいよ。ここだったら、ゆっくりと休むことができるから」

 ジュリアをベッドに寝かせて、カーシーは椅子を引っ張り出して座った。

「カーシー、退屈じゃない?」
「ううん、全然」

 カーシーは無意識にジュリアの髪にキスをしていた。普段からポーカーフェイスを装っている彼自身が自分のしたことに驚いて、僅かに目を見開いた。ジュリアはそんなことをされたとは知らずに目を閉じて無防備な状態だった。
 しばらくジュリアの髪を撫でたり、指に絡めていたときに誰かが入ってきた。まっすぐ来たかと思っていると、休んでいる小さな主の名前を呼んだ。
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