小さな主人と二人の従者
「ジュリア？」

　カーシーはカーテンを開けて、いつもの笑顔で迎えた。

「ケネス！今まで授業だったの？」
「あ、あぁ。ジュリア、どうしたんだ？」
「ちょっと疲れた様子だったから、ここで休ませていたんだよ。ギャレットは一緒じゃないの？」

　ジュリアは起きていたので、二人の会話は聞き取ることができていた。目を開けようとしても、医務室の明るさが眩しくて目を閉じた。

「ギャレットはアンナに捕まっていて、談話室で何か話に付き合わされていた」

　しばらく時間を稼いでくれていると知ったジュリアは目をこじ開けて起き上がった。

「ジュリア！寝ていろ！」
「起きたいの。ケネス、話したいことがあるの」
「ケネス、後はお願いしていい？俺、用事があるから」
「ああ」
「襲っちゃ駄目だよ？」
「お前じゃないんだからするはずがないだろう」
「ひどい言い草だな」

　カーシーは風のように消えると、ケネスはジュリアをベッドに座らせて、自身もジュリアの隣に座った。
　どこから話せばいいのだろう。そんなことを考えているだけでも時間は過ぎる。ジュリアはまずケネスの転生について話し始めることにした。
< 226 / 269 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop