小さな主人と二人の従者
「私、あの黒い屋敷へ行く!魔女を倒して二人を助けるの!」
「一人で行かせるか。俺も一緒に行く」
「ありがとう」

 ジュリアの決意は揺るがなかった。

「私はギャレットに止められても、前進をやめたりしない!」

 医務室にいた日から頭の中でギャレットのことをひたすら考えていた。いつだってギャレットはジュリアに優しく触れたり、甘く囁いていた。ジュリアが強くなろうとしたり、無理をしようとすると、ギャレットは止めにかかる。 
 無理をしちゃ駄目だよ、危ないところに首を突っ込まないで。
 まるで迷子になったジュリアの手を引っ張って、安全な場所へ導こうとしているようだった。ギャレットに守られて生きていけば、ジュリアの感覚や思考が麻痺していくような気がしてならない。甘くて優しいだけの世界。
 いつの日か、カーシーに質問されたことがある。甘く優しい道と苦しくてたまらない茨道があるなら、どちらを選択するのか。

「私は・・・・・・」

 茨道を選んでいたけれど、どちらも極端に大きいのは辛いから、どちらも交じり合っていたい。
 いつの間にか自然と考えが変わっていた。
< 229 / 269 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop