小さな主人と二人の従者
「最近、考えてばかりいるね。どうしたの?」

 ジュリアに話しかけたのはギャレット本人だった。

「何でもない」
「そんな顔をしていないよ。悩みがあるなら聞くよ?」

 ギャレットのことで悩んでいるのだと、叫びたくなった。

「ギャレットだって、何も言わないじゃない」
「俺に対して怒っているの?」
「そうよ」
「俺の何に怒っているの?」
「記憶喪失のことだよ」

 それを言うと、ギャレットは納得したような顔になった。

「ギャレットは私が記憶喪失になる前から、私のことをよく知っていたよね?私に兄がいることやあの屋敷へ何度も行っていたことを」
「知っていたよ」
「二人が今も魔女にひどいことをされていることも知っているよね?私は・・・・・・」
「助けに行く?そう言いたいの?」
「私、行く。ギャレットが反対したとしても」
「大怪我で済まないかもしれないよ?」

 そんなことを言われて引き下がらなかった。

「ギャレット、もっと聞きたいことがあるけれど、それは後回しにする。私は二人を助けるために魔女を倒すの」
「一人で行く気?」
「いや、俺も一緒だ。ギャレット」

 部屋に入ってきたのはケネスだった。

「ケネスまで・・・・・・」
「俺にとっても大切な存在だ。だからいつでも守れるようにな」

 ギャレットは交互にジュリアとケネスを見て、溜息を吐いた。

「わかったよ、俺も行く。終わったら、俺もジュリア嬢に話したいことがある」

 やっと助けに行くことができる。必ず元通りにするとジュリアは強い想いを胸に秘めた。
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