小さな主人と二人の従者
　寝惚けているジュリアをいいことにギャレットが嘘を囁く。

「嘘を吐くな。ジュリア様、ちゃんと起きてください」

　昨日は彼らを魔獣から助けて、その後は家に来たんだった。二人はジュリアの表情で昨日のことを思い出したのだとわかった。

「台所を借りました。何度か起こしたのですが、起きる気配がなかったので・・・・・・」
「ケネス、敬語で話さなくていいよ。ね？」
「ですが、それは・・・・・・」
「命令です！」

　初めて彼に命令を下した。それを言われてしまうと、ケネスは従うしかなかった。互いに微笑み合っていると、ギャレットがわざとらしい溜息を零した。

「どうしたの？」
「足りない」
「何がだ？」
「ジュリア嬢」

　彼もまだ寝惚けているのだろうかと思った。

「こんなことだったら、もっとジュリア嬢を抱きしめて寝ているべきだった」
「もっと？」

　ギャレットの台詞に顔を赤らめ、着替えるから出て行くように二人を追い出そうとした。

「俺が着替えを手伝うよ」

　ギャレットがジュリアのパジャマのボタンをはずそうとしたとき、ケネスがその手を払い除けてくれた。
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