小さな主人と二人の従者
 二人を助けることができて本当に良かったとジュリアは心底思った。
 ジュリアとエリーが抱きしめてからエリーとケネスが抱きしめて、その後に地下牢から出た。窓の外を見ると、もう夜になっていた。
 お互いのことを話すために居間へ入ると、ウィルは黒猫を椅子に座らせて、黒猫に元の姿に戻るように言った。
 黒猫が双眸を閉じると、毛がなくなって白い手足になった。
 黒猫の正体はモナだった

「モナ!?ど、どうして?」
「実は・・・・・・ジュリアの様子がおかしかったから、変身術で黒猫になっていたんだよ」
「変身術?」
「魔女の肩に乗っていた黒猫は私じゃないかな。私は魔女達の目を盗んで、エリーの近くにいたから」

 魔女の黒猫は魔女とともにあの爆発に巻き込まれた。エリーはそのことに気づいていたようだった。

「エリーは黒猫がモナだったことも見破っていたの?」
「だって瞳がモナと同じだったから」
「前から・・・・・・私のところに来ていたのも・・・・・・モナ?」
「そうだよ」

 モナが言うには、ときどきジュリアと電話で話すことや会ってどこかへ行っていたのに、その回数が減ったことに違和感を感じて、心配して何度かジュリアの様子を見に行っていた。
 ウィルとエリーはよく屋敷からブリジッド市まで遊びに行っていた。ブリジッド市に住む者達は美男美女カップルとして、知らない者はほとんどいなかった。
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