小さな主人と二人の従者

　ところがある日、魔女がエリーとウィルを卑劣な行為で割り込んできて、二人の姿を見なくなったので、彼らはどこかへ旅に出たのか、もしくは何か遭ったのではないかと心配するようになった。このままにしてはいけないと思った魔女は自分が最も憎んでいるエリーになりすまして、操り人形になったウィルと黒猫を連れて一度だけブリジッド市へ向かった。そこでしばらくの間、二人で外国へ行くことを周囲に伝えていたのだ。そのときモナはその場にいなくて、友達にそのことを後から聞かされた。
　モナはエリーとウィルが黒猫を連れていたことに不審に思った。その理由はエリーが何度も魔女に嫌がらせを受けていたことがあって、その度にモナはエリーを慰めていた。エリーは魔女の黒猫に監視されていて、黒猫にも怯えるようになっていたから。

「僕は友達からエリーが飼ったばかりの黒猫をとても可愛がっていた様子であったことを聞かされたの。黒猫に怯えていた彼女がそんなことをするのはおかしいと思ったから、情報を集めていたんだよ」
「どうして本当の姿を見せてくれなかったの？」
「ジュリアがおかしくなったのもその頃だったからかな。何度か学校へ行ってジュリアの様子を見ると、明らかにおかしかったから・・・・・・、嫌な予感がしていたんだよ。実際に屋敷へ行くと、門前払いだったから」