小さな主人と二人の従者
「エリー姉さん、ウィルと仲良くするなら二人きりのときにしなよ」
「あらあら、いいじゃないの」
「ケネス、俺達がいない間、ずっとジュリアと一緒にいてくれたの？」
「いたよ。ギャレットもな」
「俺だって、ジュリアがとても大切な存在に変わりはない」
「ケネスより俺の想いがずっと強いよ？」
「そんなことない」

　二人が言い合いを始めたときにジュリアはふと窓の外を見て、眉間に皺を寄せた。それに最初に気づいたのはモナだった。ジュリアと同じ方向を見ると、噴水が光を集めたように輝いていて、水は繊細な動きを見せている。それだけではない。屋敷全体が真っ黒に染まっていたのに、取り戻した記憶の中やカーシーが見せてくれた夢で見た真っ白な屋敷になっていた。

「どうなっているの？」
「魔女が消えたから、元に戻ったんだ」
「良かった！私達の屋敷が元通りになって！」

　魔女は屋敷を自分好みに魔法で変えていた。ウィルから話を聞くと、この屋敷にいた使用人も魔女が用意したらしい。動物達を使用人の姿にして、散々こき使っていたようだ。

「それは私も知らなかったわ」
「あんなにたくさんいた使用人達がいたのに、ここに来るまで一人も見ていないとすると、自分達の居場所へ帰ったのだろうね」
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