小さな主人と二人の従者
「朝っぱらから何をしているんだよ!?」
「他の時間ならいいの?」
「そうは言っていない。いいから行くぞ」

 二人が出て行ったので、嵐が過ぎ去ったようだった。
 服を着替えて、洗面所で顔を洗ってから台所へ行くと、フレンチトーストとサラダができていた。

「卵、まだ残っていたんだ」
「それで最後。食材がほとんど残ってないから、買い物しないとね」

 ギャレットは鼻歌でも歌いだしそうなくらいに機嫌が良かった。

「まさかそれにも同行するの?」
「もちろん。荷物持ちがいたら、ジュリア嬢だって楽でしょ?」
「でも明るい間に行こうと思っているの」

 ケネスはジュリアの言いたいことを察してくれた。

「ジュリア様の知っている吸血鬼の知識と実際は違いがいくつもある。朝や昼でも外出をすることができ、食事だって昨日見たようにできるから」
「それと太陽を恐れるのは下級魔族だからね」

 ギャレットが口を挟んで、コップにミルクを注いでくれた。
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