小さな主人と二人の従者
 それすらも記憶に残っていないことにジュリアはショックを受けていた。時間があるときにここに置いてあるアルバムを見せてもらおうとジュリアは後で頼むことにした。
 それからギャレットと話をしないといけない。

「ジュリアちゃん達、こんなところにいたんだ!」
「ちょっと!ギャレット!」

 ギャレットとモナが走ってきた。モナは謝罪を込めた視線をジュリアに向けたので、返事としてモナに微笑んだ。
 突然、ギャレットに肩を叩かれたので振り向くと、少し離れたところにウィルとエリーが寄り添っていた。二人は噴水の前にいて、それを囲むようにバラが咲き誇っているので絵になる。
 二人の様子を黙って見ていると、ウィルがエリーの髪にキスをしてから、顔を近づけようとしていた。ジュリアは目の前のキスシーンを見て赤くなりながらも、無意識にもっと近くで見ようと足を前に出したときにウィルがその音に反応した。

「ジュリア、それにみんなも何をしているの?」
「えっと・・・・・・、あはは・・・・・・」
「お邪魔しました」
「仲いいねー」
「わ、わざとじゃないかな」

 エリーはジュリア以上に顔を赤くして、ウィルの胸に顔を埋めた。ウィルは宥めるようにエリーの背中をポンポンと叩いている。エリーは顔を横に向けて、睨みつけているつもりなのかもしれないが、これっぽっちも怖くなかった。
 それどころか、その表情は可愛かった。一方、ウィルは口元しか笑っておらず、それが恐ろしかった。
 ウィルから説教を受けて、屋敷の中をモナとジュリアで散歩をしていた。それをモナが提案したときに隣にいたエリーは笑っていた。
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