小さな主人と二人の従者
「この屋敷は他と違って、とても小さいわよ?」
「でも、僕の家より大きいよ?それにこの屋敷の隅々まで見たことないからね」
「私とモナは冒険みたいな感じだからね」
「今度は二人の家に遊びに行ってもいいかしら?」
「もちろん!」
「僕も大歓迎かな!」

 遊戯室から出ると、ウィルが腕を組んで待っていた。

「ジュリア、話がしたいんだ。構わない?」
「うん、二人とも、ちょっと抜けるね?」
「ごゆっくり」
「後でね、ジュリア」

 エリーとモナに手を振ってから、ジュリアはウィルに部屋へ連れて行かれた。
 そこは記憶喪失になる前に行ったことがある部屋ーージュリアが割った鏡と願いを叶えるために食べた実が置いてあった部屋だった。

「ジュリア、ここにあった『白輝の実』を食べたよね?」
「うん、食べた。それと、あの卵形の鏡も割ったの・・・・・・」
「あれを食べたってことはその代償として、自分の大切なものを失う。知っていた?」
「食べた後に知ったよ。そのことでウィルお兄ちゃんに話さなければいけないことがあるの」
「何?何でも聞くよ?」
「実はねーー」

 ジュリアはウィルに今までのことを全部話した。『白輝の実』を食べてから森へ移動していて、そこでギャレットとケネスと出会って、魔獣を倒して彼らを助けたので、そのままジュリアの従者として家に一緒に住むようになった。ジュリアが『白輝の実』を口にした代償として、記憶の一部を失ったので、ずっと記憶の欠片を集める手助けもしてくれた。
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